〜今月の名言 〜　睦月

『私たちには精神がある。だから走るんだ。動物なら止めるだろう。』

トレイルランニング（Trail running）

トレイルランニングとは山岳路をランニングで駆け抜ける運動、または複数の人数で競う競技、またはそういうスタイルの山行きのこと。通常であれば登山靴やリュックサック登山用の杖などを装備して登るような山を、Tシャツに短パン、スパッツ、ランニング・シューズといったランニングのスタイルで入山して走る。山岳で行うという点で、クロスカントリー (陸上)とは区別されている。

今月の名言は、昨年８月末に開催された『ウルトラ・トレイル・ドュ・モンブラン』に、病をおして参加された７０歳の最高齢ランナーの方の言葉です。『ウルトラ・トレイル・ドュ・モンブラン』とは、ヨーロッパ最大のトレイルランニングレースで、ヨーロッパアルプスの名峰モンブラン山域、フランス、イタリア、スイスの３カ国にまたがるコースを一周します。
全長１６６ｋｍ、マラソンの約４回分。２０００ｍ以上の山や峠を越えること７回。累計標高差９４００ｍというコースを不眠不休で走り抜けます。この模様が１０月末、NHK総合テレビ番組「WONDER×WONDER」で放送されました。

レースに参加されていたのは、地元の山好きな方から世界的なランナーまで５０カ国から選抜された約２３００人。例年、全ランナーの約４割、１０００人が途中棄権したりして姿を消すと言われています。そんな中で日本のトップランナー鏑木 毅（かぶらき つよし）さんが総合３位という素晴らしい成績でゴールされました。

「WONDER×WONDER」では、そうした想像を絶する壮絶な闘いに挑む参加者と、参加者を見守る家族やサポートスタッフのゴールまでの姿を追っていました。レースが進むにつれ、選手たちの心身の疲労は極限に近づいていきます。何度も何度も、もうここで走るのを止めようと思う。やめるのは簡単だ。でも走り続けるのはなぜか…最愛の家族に支えられながら病をおして参加した７０歳のランナーが、レース合間のインタビューで、こう答えました。

『私たちには精神がある。だから走るんだ。動物ならやめるだろうね。』

あらためて人間の持つ『精神の強さ』というのを教えられた気がしました。
レース内容から考えて『ウルトラ・トレイル・ドュ・モンブラン』は健康な若者でさえ躊躇するような過酷なレースです。それなのに病を抱えながら一睡もしないで、高い山を登り、峠を越えて走ること１６６ｋｍ…朦朧とする意識の中で、走る先に見つめていたものは何なのでしょう。
そこに向かわせるエネルギーは、まさに精神という『力』以外には無いように思われます。

他の生き物には持ち得ない『精神』という底知れない力。この力はランナーの方が言われるように人間だけに与えられた宝物。そしてこの宝物である『精神』は、鍛えることによって、さらにその力を増すことさえできます。弱めることもできます。

さて、今年も新しい年がスタートしました。

今年は、どんなことがやってこようと、どっしりと両手で受け止めて、乗り越えるべきは、しっかりとした足取りで山を、峠を越えていく。
できれば右に、左に移り変わっていく景色も楽しみながら…自分自身のウルトラ・トレイルを走り抜きたいものです。
そのためにしっかりと『精神』を鍛えなければ、と思う年の初めです。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

終わり ――― 次月をお楽しみに!!